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平​成​紀​末​に​降​る​雨​は​(​初​稿​)

from 平​成​紀​末​に​降​る​雨​は​(​初​稿​) by Sho Tagomura

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lyrics

傘を指し路地を立つ 降りしきる雨で
跳ねる雫に揺らぐ水鏡 歪む実像
蟠(わだかま)る心を 示すかの様
桜が散り行く 通り道抜けて
坂の上より仰ぐ鉄橋 巡る水流
ふわり舞う花弁も 流して往くだろう

漂って揺れる船が
幾艘と水を切り跳ね出す
彼岸の彼方へ風を受け
進み消えて行く

過去の幻影も彷徨える御霊も
この花と共に去り往く
臨む街の谷間を飛び翔(かけ)て
水面(みなも)へ消えて往く
薫る風を伝って降る春の雨が
路地の澱(おり)を流して行く
翳る街の空に漂う
澱(よど)んだ時代の日々も 残るiも流すのだろうか

傘を指し街を行く 人波の中に
漂う貴方の影を求めて 掌(てのひら)伸ばす
届かずに雫が 袖口を濡らす
通りを外れる 路地裏の先に
響いた貴方の声を求めて 顔を突き出す
滴る雨粒が 頬に流れる

彷徨って揺れるiは
独り現(うつつ)の隅で佇む
二度と交り得ぬ今の中で
ぽつり漂う

貴方の笑顔も紡いだ歌声も
側で触れ得ぬ日々に立つ
寄せて返す記憶の波間で
今も独り漂う
時代の片隅にて降るこの雨は
傘に跳ねて鼓を打つ
囃す調(しらべ)が街に響く
貴方と奏でた日々も 溶けて流れて往くのだろうか

共に堪えた日も 喜びの声も
総て洗い流すと云うのなら
平成紀末に降る雨に告げる
撃ち落とすが良い この身体朽ち果てるまで

瞳を開けても貴方はもういない
優しく雨が降るだけ
散り行く花の船を見送り
独り立ち尽くすだけ
時代の片隅にて降るこの雨は
澱んだ心に滴る
傘をまた指して歩き出す
貴方と育んで来た iと絶望を抱き締めて

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